宮古島旅行の記録・四日目前半
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四日目前半
 1,仲宗根豊見親の墓
 4,多良間の浜辺
 2,フェリーたらま  5,放牧場
 3,前泊港接近  6,製糖工場近くの浜

1,仲宗根豊見親(なかそねとぅゆぅみゃ)の墓

四日目は船旅気分を味わいつつ多良間島に向かう計画です。平良港の北側に多良間行きの券買所と船着場があります。道を隔てて真向かいに仲宗根豊見親の墓があるので、出発時間まで見学する事にしました。 仲宗根豊見親は14世紀末から15世紀初頭にかけて宮古を統治した首長で、この墳墓は父親の霊を弔うために建てたというお話です。
正面、13段から成る階段状の墳墓はどことなくチチェン・イッツァのピラミッドを思わせる造りになっています。この内部に直径6m高さ2mの空間があって前後2部屋に仕切られ、 服飾品や棺、骨ガメが安置されているそうです。 正面向かって左側には井戸でしょうか、階段が地中に伸びています。少し覗き込んで見ましたが、奈落の底まで伸びているように 感じられてちょっと不気味でした。 この史跡は今でも子孫の忠導氏一門により墓として利用されているとの事です。

2,フェリーたらま

多良間島は宮古島と石垣島のほぼ中間にあって、船で2時間半ほどの距離にあります。宮古島からはフェリーたらまが就航していて、片道2010円。 自転車はたためばタダですがたたまないと 980円ほどの別料金がかかります。 船着場の北側に小さな券買所があって、そこで券を購入。後は適当に乗り込みます。
客室は雑魚寝スタイルになっていました。出港まで冷房は無し。大型の扇風機2台のみ稼動。デッキに出ると陽射を遮るものは無くて焼けるような暑さでした。  観光客は僕も含めて数人で、後はどうやら地元の人たちが利用しているようです。全部で20人程の利用客だったと思います。
出港すると右手に下地島で離着陸訓練を繰り返すジェット旅客機が良く見えました。 波浪注意報が出ていたようですが怖いほどは揺れず、快適なプチ船旅でした。  フェリーたらまは来月に新造船と交代するそうです。

3,前泊港接近

出港して2時間、正午頃前方に多良間島が見えてきました。思ったより大きく見えたのが第一印象です。後でわかったのですが、多良間島の普天間港に着くはずが、何故かこの日は 前泊港に向かっていました。このあたりはかなりテーゲー(適当)になっていうるようです。まぁ僕もなんにも急ぐ用事はありませんので問題はありません。
右手に水納(みんな)島も見えてきました。多良間島も間近に見るとやはり最初に感じたほど大きくはありません。 間もなく到着を知らせる案内が放送されるとデッキに観光客が出てきました。 皆、驚嘆の声を上げて海を見つめています。不思議としか言いようがない海の色。珊瑚が複雑に重なり合って作る海中の造形が、ブルーとグリーンの濃淡で描き出されています。 那覇でも見て、宮古島でも見て来た筈なのに、更に異常な、超自然的にさえ感じる海がありました。

4,多良間の浜辺

前泊港に降り立つと、なんとなく南へ向かいました。緩いカーブを描く舗装道路の所々から浜に繋がるであろう小路が出ているのは宮古島と同じです。 そんな小路の一つに入って自転車を降りました。 汗を滴らせながらワイヤー式のカギの番号を合せようとしましたが、バカバカしくなってそのまま放置して行きました。
大きな蝶々が何匹か飛んでいたと思います。お墓のようなものもあったかもしれません。 鬱葱とした木々が陽射を遮っていたのは確かです。 それほど長くは無いその小路は舗装道路が敷かれた現実と異次元の海を繋ぐトンネルのようでした。 倒木をまたいで行くと、手付かずの自然の浜がそこにはありました。 なんの修飾も喧騒も無い、単調で延々と広がる遠浅の海は僕の記憶のコントラストを著しく低下させて、漠とした印象しか残してくれませんでした。

5,放牧場

再び自転車に跨るとフラー(阿呆)のようにプラプラと進んでいきました。 右手には緑の牧草地が稜線まで続いています。人口の建造物が極端に少ない中を走っていると、 遠近感やスピード感を失ってしまいます。 多良間島は海岸線長16.4kmの小さな島ですが、 もっと巨大な島に迷い込んでしまったような錯覚を覚えました。
港を離れてから、軽自動車を2台ほど目撃した意外、人に会うことはありませんでした。 その代わり、牛や山羊にはたくさん会いました。多良間は人口約1,400人ですが 牛は3,800頭,山羊は550頭ほどいるようなので無理も無い事のようです。
南洋の直射日光は牛にもかなり厳しいでしょう。みな木陰でじっとしていました。この牛も木陰を求めているのでしょうが、真上から照り付ける陽射で出来る木陰は 彼には小さすぎるようです。

6,製糖工場近くの浜

多良間島にも宮古精糖株式会社の工場があります。多良間の黒糖は有名です。 また海を見たくなったので、浜に出ました。
多良間の浜は金太郎飴のようです。どこを切っても珊瑚礁。遠浅の浜辺には熱帯魚が群れていましたが、吉野海岸のそれらと違って人になれていません。すぐに逃げてしまいますが中には暢気なのもいるようです。