車椅子の操作方法



はじめに

車椅子を利用されている、障害者の皆さんは全て障害が同じではありません。したがって求められる介助の内容も違ってきます。ここに書かれていることはあくまで車椅子の操作方法です。トイレ、食事、買い物など日常生活を支援する場合は良く相談しながら介助するようにしましょう。

車椅子各部の名称 
車椅子各部の名称
車椅子の広げ方 
1. ブレーキが掛かっているか確認します 車椅子の広げ方
2. 車椅子の横に立ちアームレストを両手で押し広げると少し広がります
3. 車椅子の前に立ち両手をハの字にしてシートを押し下げます。この時、座席と両サイドの間に手を挟まれない、フットレストに足をぶつけないように注意してください。
車椅子の折りたたみ方 
1. ブレーキが掛かっているか確認します 車椅子の折りたたみ方
2. 左右のフットレストを上げます。
3. 車椅子の横に立ち、座席の真ん中の手前と奥を持ち、上に引き上げます。
4. アームレストを左右近づけて折りたたみます。
キャスター(前輪)の浮かせ方 
1. 車椅子介助の基本操作の1つで大切なことは、キャスター(前輪)を浮かす操作です。この操作を応用して、段差の乗り越えやエレベーターの乗り降りを行ないます。 キャスターの浮かせ方
2. スティッピングバーをふむことにより、梃子(てこ)の原理でキャスターを浮かせます。この時スティッピングバーの踏み方は、真下ではなく、斜め前に力がかかるように踏み込みます。
3. 手でハンドルを押し下げます。この時、後ろに倒れすぎないように注意してください。
4. 障害者にも身体を少し後方に倒してもらえば、軽く操作ができます。
5. おろす場合はスティッピングバーを踏みながらそっとおろします。
停止している時
車椅子には、両サイドにブレーキがあります。止まっている時や障害者が車椅子に乗り降りするときには必ず両サイドのブレーキをかけてください。通常ブレーキは、後方に引くと掛かり、前方に押すとはずれます。尚、ブレーキの掛け方とはずし方が上記と逆の車椅子もありますので注意してください。車椅子が坂を走りだしてしまったら止めようがありません、車椅子に乗っている人の命を預かっているのですからブレーキの操作は念には念をいれて確認してください。 停止いているとき
移動する時
1. 車椅子を押す前の注意と確認
○浅く腰掛けていませんか ○身体は傾いていませんか ○手はアームレスト又はひざの上ににありますか 
○フットレストに足がのっていますか
2. 両サイドのブレーキをはずして押してください。ブレーキをはずす時は必ずどちらかの手が車椅子に掛かっているようにしてください。ブレーキが掛かっていない状態で車椅子から両手をはなすことは大変危険です、絶対にしないでください。
3. 動き出したら
○声を掛ける(動きます、止まります、曲がります、前を上げます等) ○急にスピードを出さない ○急に止まらない ○急に方向転換しない ○つま先を扉や壁にぶつけない ○フットレストを歩いている歩行者にぶつけない
押し方
1. でこぼこ道:キャスターを上げて押してください。
2. 上り坂:前向きにのぼります。身体を少し前傾してしっかり押します。
3. 下り坂:急な下り坂は後ろ向きにゆっくり下ります。急な坂道の場合、介助者が車椅子の背に自分の体重を掛けるようにすれば少ない力ですみます。ゆるい坂道の場合は前向きでもかまいませんが、前に引っ張られる感じがする場合は、後ろ向きの方が安全です。なだらかな坂を前向きで下りている時に急に止まると座位が不安定の場合落ちることがありますので注意が必要です。
でこぼこ道 上り坂 下り坂
でこぼこ道 上り坂 下り坂
段差の昇降
車椅子の場合、キャスターが小さな車輪になっていますので、わずかな段差や隙間でもキャスターが引っかかったり、隙間に落ち込んだりします。キャスターを浮かすことによって避けることができます。又キャスターを浮かすことで段差を昇り降りすることができます。
1. 上がる場合
1) 段差に直角に車椅子を止め、スティッピングバーを踏み、ハンドルを下に押し下げて、キャスターを上げ、そのまま進み、段の上にキャスターを下ろします。
2) 後輪が段にぶつかったところでハンドルを持ち上げながら押しあげます。
段差を上がる場合1 段差を上がる場合2 段差を上がる場合3
2. 下がる場合
1) 後ろ向きになり段差に直角に車椅子を止め、ハンドルを持ち上げながらゆっくりと静かに段差の下に後輪を降ろします。
2) キャスターを上げて後方に下がり、段差から離れてフットプレートやつま先が当たらないようにして、静かにキャスターを下ろします。
段差を下がる場合1 段差を下がる場合2 段差を下がる場合3
3. 溝を越える場合
1) キャスターが溝にはまらないように手前で上げます。
2) 溝を越えた場所に、ゆっくり静かにキャスターを下ろします。
3) 力を入れてハンドルを持ち、後輪が溝に落ちないように通過します。この時ハンドルを上げすぎると利用者が落ちる危険がありますので注意しましょう。
溝を越える場合1 溝を超える場合2
エレベーターの乗り降り
エレベーターの乗り降りは、キャスターをエレベーターと廊下との隙間に落とさないように軽く浮かしてください。
エレベーターの乗り降りでは、後ろ向きに入って、中で方向転換して後ろ向きに出る方法と、中で方向転換できないエレベーターや混雑している場合は、前向きで入って後ろ向きにでる、あるいは後ろ向きで入って前向きに出るなどいろいろな方法があります。
エレベーターの乗り降り
階段の上り下がり
4人の場合は両サイドに一名ずつ、左右のハンドルに一名ずつ、3名の場合は両サイドに一名ずつ、ハンドルに一名で持ち上げます。車椅子の向きは上下とも階段の上方向に向けます。障害者にとって階段を上がり下がりすることは1つ間違えば車椅子ごと落ちてしまう大変怖いことです。支援する場合は命を預かっていることを認識して力を合わせて持ち上げてください。
1. 車椅子を持ち上げる時の注意事項
1) ハンドルとレッグレストパイプ(キャスター上部)を持ちます。アームレストやバックレストが取り外せる車椅子の場合、着脱できる部分を持たないように注意してください。 車椅子を持ち上げる時に持つ位置
2) 車輪やハンドリムは、ブレーキをかけていても動く場合があります。構造上その部分を持たなければ持ち上げられない場合以外は、持たないようにしてください。
2. 上がる場合
1) 階段下で車いすにブレーキをかけます。
2) 介護者は、声をかけてタイミングを合わせて、車椅子を持ち上げます。
3) 歩調をあわせて、ゆっくりと階段を上がります。
3. 下がる場合
1) 階段上で車いすを後ろ向きにしてブレーキをかけます。
2) 介護者は、声をかけてタイミングを合わせて、車いすを持ち上げます。
3) 歩調をあわせて、ゆっくりと階段を下がります。
電車の乗り降り
電車に乗り降りする場合、自信が無い時は最後尾の車掌さんに最も近いドアーから乗り込みましょう。車両とホームとの間に段差があり、乗降しにくい場合は駅員に介助やスロープ利用などの対応をお願いしましょう。
1. 電車に乗る場合
電車に乗る場合は前向きでキャスターを上げて乗り込みます。電車に対して必ず直角になるように進みましょう。斜めになると電車とホームの隙間に駆動輪が落ちてしまうことがありますので注意してください。
2. 車内
車内では進行方向に対して直角に車椅子をとめ、必ずブレーキを掛けて下さい。
車椅子は出来るだけ乗降口の近くに止めておきたいのです。車椅子の介助者は遠くに席が空いていても車椅子から離れることはできませんので、乗降口の近くに座っている人は他に席が空いている場合は譲ってあげると良いでしょう。
3. 電車を降りる場合
電車を降り部場合は乗るときとは逆に後ろ向きでキャスターを上げて降ります。電車に対して必ず直角になるように後退します。斜めになると電車とホームの隙間に駆動輪が落ちてしまうことがありますので注意してください。トップ
電車に乗る場合 電車を降りる場合 電車に対して直角に乗降
電車の乗り降り1 電車の乗り降り2 電車の乗り降り3