このページをご覧になった時、多くの方が一番最初に感じる疑問であろう。
それは、1993年。我が母校の学園祭で在校生の展示を見た時のこと。多摩川の支流に野川という川があるが、そこでの観察レポートが展示されていた。野川の中流に都立野川公園があるのだが、そこのレポートもあった。それを見て、面白いと思い、自分も野川を野川公園までさかのぼってみようと思った。川沿いに走るには自転車しかなく、もちろん自転車で行くことにした。
野川は思った通り、都会と自然(雑木林や河原)が隣り合わせになった所であった。とにかく野川公園は、かつてゴルフ場だった所を公園にしたものだが、一角にはわき水のある場所があり、その周辺の環境が保全されている。ホタルを育てる池もある。緑が多い、いい公園である。
私はその頃、漠然と都会に近い自然に興味があり、そういった所で何か研究ができたらいいなと思っていたのである。この川とつきあっていれば、なにか見つかるかも、と思ったのである。
野川をさかのぼること数回、野川にアオサギがいるのを見つけた。それは多摩川との合流点から数km、バス通りに程近い場所である。こんなところにアオサギがいる、なんだこれは、と思った。それまでアオサギは、北海道の広い湿原や谷津干潟のような広い干潟にいるものと思っていて、都市河川になんかコサギしかいないものと思っていたのである。
同時に観察を続けていた、千葉県習志野市の谷津干潟にもアオサギがいた。そのうちの1羽が、観察しながら歩いている私の後をついてきた。というか、そう見えたのである。何らかメッセージを私に伝えようとしているのだろうか。いや、きっとそうに違いない、とその時思った。この出来事が後押しになり、自宅に近い多摩川でアオサギの研究を始めたのである。
「なぜ多摩川にアオサギがいるのか。」それは、多摩川でアオサギを見続けていれば、その理由が分かると思った。それから約2年、多摩川でのアオサギの繁殖を確認。さらに都会での独特な環境、また、それにからんだ問題が見えてきた。
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(野川公園、谷津干潟)
update:99/04/11